天皇・皇族の呼称についての注意点と「上皇后」という全く新たな称号

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「天皇陛下! 何をいじってるんですか?」「目、いじってんのう(明治天皇)」とか、子供の頃に流行ったよなぁ……と懐かしく思い出したご同輩、こんにちは。館長です。

天皇・皇族の呼称

ほかには……

「陛下! 何を背負(しょ)ってるんですか?」
「鯛、背負ってんのう(大正天皇)」

「陛下! ショー観ないんですか?」
「ショー、終わってんのう(昭和天皇)」

……などと言ってましたけど、考えてみれば昭和天皇がまだご存命だったにもかかわらず「昭和天皇」と言ってしまっていたのは不敬が過ぎました。

何も知らない無垢な子供だったのでどうかお許しください。

無垢というより馬鹿でしたがどうかお許しください。

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天皇・皇族の呼称についての注意点と「上皇后」という全く新たな称号についての議論

天皇・皇族の呼称についての注意点

天皇・皇族の呼称

「元号」+「天皇」が諡であるから、ご存命中は使うべきでないことは知っておりました。

それよりなにより僕が驚いたのは、美智子さまが「上皇后」となったことです。

それは、2017年6月16日公布、2019年4月30日施行の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法(退位特例法)」をきちんと読んでなかった僕自身が悪いのですが、僕にとってはまさかの「上皇后」でした。

加えて驚いたのは、「上皇」が、「太上天皇」の略称ではなく、「上皇」という正式名称だということです。
 
僕はてっきり天皇陛下は「太上天皇(および略称の「上皇」)」、美智子さまは「皇太后(および略称の「大后」)」になるものとばかり思っていたからです。

「上皇后」という全く新たな称号

【太上天皇(だいじょうてんのう、だじょうてんのう)】

譲位により皇位を後継者に譲った天皇の尊号、または、その尊号を受けた天皇。

しかし、2017年に上皇明仁の退位を行うための特例法である天皇の退位等に関する皇室典範特例法(退位特例法)が定められ、2019年4月30日に上皇明仁が退位し、翌日5月1日に今上天皇が即位された。
なお、特例法第3条で「退位した天皇は、上皇とする。」と規定されており、「太上天皇」ではなく「上皇」が退位後の正式名称となる。
 

【上皇(じょうこう)】

第125代天皇の退位後の「上皇」という称号は「太上天皇」の略称ではなく、正式な称号である。

歴史上用いられた「上皇」は「太上天皇」の略称だったが、退位特例法の法案化の過程での議論の中で、上皇が「治天の君」として院政を敷いたり、天皇が上皇により譲位させられたり、上皇同士、上皇と天皇間で権力闘争が起きたことから、「二重権威」にあたると使用に反対する意見も見られた。

このような意見を踏まえ、同法第3条第1項に「退位した天皇は、上皇とする」と規定しており、この規定により第125代天皇の退位後の称号は「太上天皇」ではなく「上皇」が正式なものとなる。
ただし、退位した天皇の呼称、および国民に馴染みやすい呼称として選定されており、その語源が太上天皇の略である。

「上皇后」も同様に歴史上の称号ではない。皇后は配偶者の天皇が退位するか、天皇が崩御して未亡人になると皇太后となる。直近の例では香淳皇后が昭和天皇の崩御から、2000年(平成12年)に自身が崩御するまで皇太后の身位にあった。皇太后は三后(皇后・皇太后・太皇太后)の身位の1つだが、これは未亡人という印象が強いことから使用が避けられたようである。

2017年(平成29年)6月に制定された天皇の退位等に関する皇室典範特例法の規定にのっとり、第125代天皇一代に於いて適用される臨時法(時限立法)であり、恒久法ではないため、特例法の制定もしくは皇室典範などが改正されない限り、次代には適用されない。
 

【上皇后(じょうこうごう)】

退位特例法第三条において、明仁天皇は退位後、「上皇」となることが定められているが、同法第四条により、その后の称号は「上皇后」となるものとされている。
具体的には、上皇明仁の皇后である美智子が、2019年(令和元年)5月1日から上皇后となっている。
「上皇」は(本来は「太上天皇」の略称であるとはいえ)歴史的に長く用いられてきた表現であるのに対し、「上皇后」は日本史上一度も使われたことのない、全く新たな称号である。

上皇の敬称に倣い、退位特例法第四条により上皇后の敬称にも「陛下」を使用する。
これは、皇室典範において皇太后の敬称が「陛下」とされていることによる。
上皇后の英語表記は「Empress Emerita」で、敬称の「陛下」は、従来通り「Her Majesty」である。
上皇の英語表記は「Emperor Emeritus」で、「emeritus」は「名誉待遇の」という意味を持つ。
上皇后の「emerita」はその女性形である。

[称号決定の経緯]
譲位した天皇の后の称号としては、歴史的には皇后を維持した例や皇太后とした例などがあった。
そのため、当初は皇室典範に規定がある「皇太后」を称号として用いる案もあった。
しかし、香淳皇后などのイメージから現代では未亡人の印象が強い「皇太后」を、退位した天皇の配偶者の称号として使用することに対して、不安を覚える者もいた。

天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議のメンバーである山内昌之は、次のように述べている。
「お辞めになった天皇のきさきの称号として、本当は皇太后がふさわしい。しかし、未亡人というイメージが非常に強く、戦後の政府官報の英語版にも皇太后は夫を亡くした皇后を指すと書いてある。率直に言って使えないと思った。」

上記の事情に加えて、退位が日本国憲法下では初めてのケースとなることから「歴史に引っ張られる必要はない」といった声もあった。
現在、婚姻により皇族の身分を取得した女性皇族の称号は、「皇后」・「皇太子妃」・「親王妃」・「王妃」など天皇及び男性皇族の称号と后、妃を組み合わせたものであり、それに合わせて有識者会議は、その責任において新たに創作した「上皇后」を用いるべしと最終的に結論を出した。

その後、政府の法案に基づく天皇の退位等に関する皇室典範特例法が国会にて可決され、「上皇」と「上皇后」の称号を用いるものと公式に決定された。

[反対意見]
「上皇后」は日本史上一度も使われたことのない称号であることから、根強い反対意見がある。
先述のように、譲位した天皇(=太上天皇)の后の称号としては、歴史的には「皇后」を維持した例や「皇太后」とした例などがあった。
「天皇」の后は「天皇后」ではなく「皇后」なのだから、完全に対になっていない称号でも問題ないという指摘もあり、反対派の大多数は、歴史的に用いられてきた「皇太后」あるいはその略称である「太后」を用いるべきだと唱えている。

「皇太后」使用論
そもそも「皇太后」に未亡人という意味はない。
太上天皇の配偶者としての皇太后の先例があるにもかかわらず、明治以降になってから生まれた未亡人というイメージをもとに「皇太后」を用いないことに対して、否定的な意見を唱える者も多い。

倉山満は「未亡人の意味合いがある」という理由で「皇太后」が退けられたことに対して、「たかが150年もない明治以降の歴史だけで語ってどうするのか」と語り、極めて強い不満を表明している。
のちに倉山は「皇室は先例がすべてです。『皇太后』という呼称がすでにあるにもかかわらず、勝手に『上皇后』などという新たな呼称を作ったのは、皇室の伝統を破壊する行為に等しい」と述べ、重ねて反対意見を表明している。

「皇太后」の正式な英訳に未亡人という意味が含まれているから「皇太后」を使用できないのであれば、変えるべきは英訳の方であり、世界各国に配慮して「皇太后」の方を別の言葉に置き換えるようなことはすべきではない、との指摘もある。

 

あちこちから切り貼りした長い引用で申し訳ないですけども、僕なりにまとめますと……
 

  • そもそも退位した天皇は「太上天皇(略称「上皇」)」になるもの。
  • その后は「皇太后(略称「太后」)」になるもの。
  • しかし史実も踏まえ「太上天皇(略称「上皇」)」と天皇は二重権威の懸念がある。
  • だから「上皇」にしよう。正式名称も「上皇」であり「太上天皇」の略ではないとしよう。
  • じゃあ、美智子さまは「上皇后」にしよう。日本史上一度も使用されていない “造語” だけどいいや!
  • だって、「皇太后」は未亡人っぽさ満載だもの。
  • 但し、これら「上皇」「上皇后」は今回限りのことで、次代には適用されないよ。

 

……ということのようです。たぶん。
 

僕個人の思いとしては、この件に関してだけは倉山満氏の言う「勝手に『上皇后』などという新たな呼称を作ったのは、皇室の伝統を破壊する行為に等しい」という意見に共感するもので、こういうことは恣意的にも感じられるような決め方をしてはいけないと思うのです。
 

とはいえ、僕はただの下々の者ですから、決まったことには従いますとも。

今から毎日唱えて慣れていきます。

「上皇・上皇后 両陛下」

残念ながらちょっとリズムがよろしくないですね。

「墾田永年私財法」に次ぐリズムの良さと言われる「天皇・皇后 両陛下」を口にする気持ちよさに比べますと、どうしても言いづらくて……。
(その意味からも「上皇・大后 両陛下」のほうが良かったんじゃない?)

でも頑張るよ。「上皇・上皇后 両陛下」

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